少年少女の心を持ったまま大人になるには、廃墟になったラブホテルに潜入してみるべきか #文責・雨宮美奈子
おはようございます、雨宮美奈子です。
今週も「個人的な話」「時事ネタ」「おたよりへのお返事・相談コーナー」の順で3本立てをお届けして参ります。
新たな気持ちで始まる月曜日に、肩の力を抜きながら読んでいただければ幸いです。
産後まだヒールを履けずにいる話
妊娠が発覚してから、まもなく丸2年が経過しようとしています。
それはつまり、「危険だからハイヒールを履いちゃいけない」と思った妊娠発覚のあの日から始まり、「産後でそれどころじゃないわ!」という状態が続きに続いて、2年が経ったということ。
ふと先週ぼーっとしているときに、この2年でヒールを2回ほどしか履いていないことに気がつき、ヒールを履くモチベーションが皆無である己にハッと気がつきました。突然の気づきを今日もわたしはニュースレターのネタにするぜ。
別にヒールを履いてこそオンナである……みたいな前時代的な感覚はまったく持ち合わせてなどいないし、ヒールを履かないなんて女子度が下がっている!言葉を聞いた日には相手を殴りたくなるわたしです。
いやしかし、ヒールを履いたほうが脚は長く見えるし、スタイル良く見えるのも事実なので、履きたい気持ちがないわけじゃない。可能ならば、きつくないのなら、毎日だって履きたいんですよ。
しっかし、モチベーションが沸かない。
この2年のうちにスニーカーこそが最高だ、という快適なぬるま湯に浸かってしまったせいで、久々に玄関先で低めのヒールをちょいと履いてみただけで途端に指先が窮屈な悲鳴を上げ始め、1分歩くだけでも憂鬱な気持ちにさせられるわけです。しんどい。
逆に、自分はどうやってヒールを履き始めたのかを思い返してみれば……
小学校5年生ぐらいから当時流行した厚底ヒールを履き始め……そこから18歳頃まで数年かけてなんとか踏ん張って慣れて、靴擦れも数え切れないほど繰り返して、絆創膏を何度も貼って、血豆を潰して潰して、ときに裸足で帰宅して、それでなんとかどれだけでもヒールで歩ける頑丈な足を手に入れたわけです。
つまり文字通り、わたしのヒール歴は血のにじむ努力の上で成り立っています。
黒歴史ならぬ、血塗られた赤歴史。誇りたい、この足歴史。
その努力でせっかく手に入れたものを、わたしはこの2年で簡単に忘れてしまっているのです。小学5年生から築いた努力と歴史はゼロに戻り、あのとき欲しくて仕方がなかった鋼の足は遠く彼方に消滅、今やぷにぷにふわふわの足の裏。
ヒールを履くと、瞬時に「無理」と思ってしまう赤ちゃん足にすっかり成り下がってしまいました。
いまやわたしは、目の前にいる我が子1歳児ともはや同じ足。……いやそれは言い過ぎか。(いま赤ちゃんの足を確認してみると美しかったけれど、わたしのかかとは見事にガッサガサでしたので前言撤回しておきます)
つまりヒールってのは結局、努力と根性。
足の形がヒール向きでなかったのにもかかわらず、なんとか履けるようになったわたしにとってこの事実は揺るぎないのです。
ヒール。
それを履くためには体育会系的な文脈の努力が必要で、それを乗り越えた先に使いこなせるアイテムなのだと痛感しています。
ヒールを履いたことがないという人は男性に比較的多いとは思うんですけども、ぜひとも一度何かの機会にお借りして履いてみてください、履いた瞬間にきっと「ガッツだぜ……」とウルフルズさながらのセリフが口をついて出てくることでしょう。そう、これはガッツなんです。街中でヒールを履いている人を見ると「すごいな」と思うようになりますよ、ええ、お約束いたします。
…………
しかし、綺麗事を言いたいだけじゃないので、本日はもう少し追伸を。
「子育てに必死な自分が誇らしい。ヒールを履かない私いいよね」みたいな、泥臭い母親こそあるべき姿、といった美しい努力話に集約させがちなことって最近多いじゃないですか。
最近のTwitterやらインターネット界隈などにて、こういう話を一周まわって美徳として消費していくことが正義っぽいとされている部分がある気がしていて、わたしはそれがむず痒くて仕方がないんだよね、という正直な心情も付け加えておきます。
つまり、本来は「ヒール履く履かない、どちらでもいいよね、母になってもどうなってもみんなそれぞれ自由なんだよね」ってのが時代の流れのはずなのに、スニーカーを履く母親は良いぞ、から、そういう母親こそ母親だぞ、と決めつけがちな部分もあるように感じていて、そういう部分には丁寧に反発していきたいなあと思っています。
いやあ、多様性の時代に、現代に、一周まわって反しているねえ。
スニーカーを履いた母「も」みんないい、でいいじゃんねえ。と思いつつ。
実際、ピンヒールで一度ベビーカー押したことがあるんですけども、本当に強い目線を感じました。母親という肩書を担って歩いていると、周囲からはこうであるべきという姿があるのでしょう、そこからズレると途端に「やべー母親」認定されることを肌で感じています。
都内でこれだったら、地方はもっとこの目線、すごいんだろうな。これがネットでも感じる目線と重なっていると思うことがあるわけです。
繰り返すようだけれども、やっぱりヒールを履いた方がスタイルは良く見えるわけですし、わたしはスニーカーを履いた自分よりヒールを履いた自分の方がよっぽど好きなのです。そう、これは単なるわたしの好みの話です。
だから頼むよ、せめてこれを読んでいるあなたには、ヒールを履いた母親を見つけたら「母親なのにヒールなんて」なんて思うよりも先に「母親なのにヒール履けるなんてすごいな」だなんて拍手していただけたら嬉しいなと思っております。ヒール、格好いいじゃんね!
今日もまた玄関で、わたしはヒールとスニーカーを見比べながらスニーカーを履いてしまうのかもしれないけれども、まあみなさん見ていてください。
もう少し、特訓を重ねますから。もう少し、血の滲む歴史を足にもう一度刻みますから。
わたしがショッピングセンターで突如走り出す赤ちゃんを、ハイヒールでベビーカー押しながらダッシュして捕まえに行く母親になる日は近いので。
ここに宣言しておきますので、その際には拍手をお忘れなく。
【時事】廃墟ラブホテルで肝試しをする、そんな気持ちを忘れない大人がいた話
速報です。不法侵入の犯罪ニュースです。
笑っちゃいけないんです、しかしちょっとこれ面白かったのでわたしの心にクリティカルヒットをしたので、今日はこちらのニュースを是非ともご紹介させてください。
簡単にまとめると……
会社員の男性(56)、無職の男(49)、介護職員の女(30)の3人が廃墟となっているラブホテルに心霊スポット探検のために無断で侵入し、不法侵入として捕まった、というお話です。
不法侵入は確かによくないことなのだけれども、30代から50代の大人が一緒に「心霊スポットで写真を撮ろうぜ」といって冒険するなんて、ちょっとこれは少年少女の心を失っていない感じがして、どうもなんだか憎めない感じがしてしまうのはわたしだけでしょうか。
違法行為はご法度ですが、わたしもこういう心意気だけは忘れない大人になっていこうという気持ちを改めて決意いたしました。
もっとも、心霊スポット撮影なんてのは言い訳で、だって場所はいうてラブホテル、そこに男女が行く本当の目的は別にあったのかも……なんて邪推がない訳ではありませんが、わたしはこのニュースを言葉通り純粋に受け取って信じようと思います。
わたし、ピュアな少年少女の心を持っているもんでね!
今週のおたより&相談【ご近所さんへの片思い】
先週のお悩み相談では、夫婦間の問題に深く長文でお返事をじっくりと書かせて頂きましたが、今週は片思いのお話にお答え致します。
【相談者名:猫マドンナさん】
美奈子さん、こんにちは。いつもSNS拝見しております。
今回は「マンション内に住む人にどう声をかけたらいいのか?」という相談をしたく、勇気を出してメッセージしました。24歳の女性です。
今、都内で一人暮らしをしていて、同じ賃貸アパートの中でよく見かける男性にどうにか声をかけたいんですが、話しかけたら不審者になりそうなのが怖くてすっごく困ってます。朝の通勤時間が近いようで、月に何度か廊下(というか二人とも1階部分なので外って言うんですかね??外に洗濯機が出ている古いアパートです)ですれ違ったりします。一部屋を挟んでるだけで、互いには部屋番号もわかっている状態です。
住んで8ヶ月ぐらいで、去年の春に初めて見かけました。あっちが先に住んでいた状況で、相手は見た感じ30歳前後です、一人暮らし向きのアパートなので独身だと思います。キモいんですが帰り道に見えちゃうので書いておきますが、土日は全く電気がついていないことが多いので、結構出かける元気なタイプなのかなと思います。爽やかな感じで、方言はないと思います。福士蒼汰を少し老けさせた感じで、身長は高めです。
一目惚れなので、どう考えてもどう話しかけてもやばい人にしかならない気がします。すれ違うときに挨拶するだけの関係ですが、一度だけ、近くのコンビニでも遭遇したことがあり、その時は「あ、どうも」とあちらから声をかけてくれました。
郵便ポストに何かお手紙を、と言うことも考えたのですがそもそも名前も知らないなと思いましたし、自分が逆の立場なら場合によっては警察に相談するかもとも思いました。これ、詰んでますよね。。美奈子さんならどうしますか?よかったらアイディアください。ぜひよろしくお願いします。
【以下、お返事】
猫マドンナさん、相談を勇気を出して送っていただいたとのこと、ありがとうございます。
なんとも難儀な恋をしてしまいましたね。というのも、まずそもそもなのですが、これを読んでのわたしの第一印象を正直に伝えてしまうと「その人、本当に独身でしょうか?」。